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2010年4月29日木曜日

文學界新人賞受賞作リスト

文藝春秋が発行する『文學界』の公募新人賞で1955年に始まる。

前期の受賞作は6月号、後期の受賞作は12月号に掲載。
規定枚数が400字詰原稿用紙で100枚程度。

第64(1987)鷺沢萠「川べりの道」、尾崎昌躬「東明の浜」
第65(1987)谷口哲秋「遠方より」
第66(1988)坂谷照美「四日間」、小浜清志「風の河」
第67(1988)梶井俊介「僕であるための旅」、浜口隆義「夏の果て」
第68(1989)山里禎子「ソウル・トリップ」
第69(1989)中村隆資「流離譚」(「地蔵記」に所収)、瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」(芥川賞受賞)
第70(1990)河林満「渇水」
第71(1990)竹野昌代「狂いバチ、迷いバチ」
第72(1991)みどりゆうこ「海を渡る植物群」
第73(1991)市村薫「名前のない表札」
第74(1992)安斎あざみ「樹木内侵入臨床士」、大島真寿美「春の手品師」(「ふじこさん」に所収)
第75(1992)伏本和代「ちょっとムカつくけれど、居心地のいい場所」(「ラクになる」に所収)
第76(1993)高林杳子「無人車」
第77(1993)篠原一「壊音 KAI-ON」(最年少受賞)、中村邦生「冗談関係のメモリアル」
第78(1994)松尾光治「フアースト・ブルース」
第79(1994)木崎巴「マイナス因子」
第80(1995)青来有一「ジェロニモの十字架」(「聖水」に所収)
第81(1995)塩崎豪士「目印はコンビニエンス」、清野栄一「デッドエンド・スカイ」、奥泉光・山田詠美奨励賞:山田あかね「終わりのいろいろなかたち」
第82(1996)該当作なし 島田雅彦・辻原登奨励賞:新堂令子 「サイレントパニック」
第83(1996)大村麻梨子「ギルド」、最上陽介「物語が殺されたあとで」
第84(1997)吉田修一「最後の息子」
第85(1997)橘川有弥「くろい、こうえんの」島田雅彦・山田詠美奨励賞:砂田ガロン「天麩羅車掌」
第86(1998)若合春侑「脳病院へまゐります。」
第87(1999)該当作なし 奥泉光・島田雅彦奨励賞:三輪克己「働かざるもの」
第88(1999)松崎美保「DAY LABOUR」、羽根田康美「LA心中」
第89(1999)該当作なし
第90(2000)該当作なし 辻原登奨励賞:福迫光英 「ガリバーの死体袋」
第91(2000)都築隆広 看板屋の恋、島田雅彦奨励賞 飯塚朝美 ミゼリコート
第92(2001)長嶋有 サイドカーに犬(「猛スピードで母は」に所収)、吉村萬壱「クチュクチュバーン
第93(2001)該当作なし、佳作 東野一美 白い夏
第94(2002)北岡耕二 わたしの好きなハンバーガー、蒔岡雪子 飴玉が三つ
第95(2002)該当作なし、佳作 河西美穂 ミネさん
第96(2003)絲山秋子 イッツ・オンリー・トーク
第97(2003)由真直人 ハンゴンタン
第98(2004)モブ・ノリオ 介護入門(芥川賞受賞)、佳作 宮下奈都 静かな雨
第99(2004)赤染晶子 初子さん(「うつつ・うつら」に所収)、島田雅彦奨励賞 寺坂小迪 ヒヤシンス
第100(2005)該当作なし、辻原登、松浦寿輝奨励賞 佐久吉忠夫 末黒野
第101(2005)中山智幸 さりぎわの歩き方、辻原登奨励 参考作 桑井朋子 退行する日々
第102(2006)木村紅美 風化する女、島田雅彦奨励賞 澁谷ヨシユキ バードメン
第103(2006)田山朔美 裏庭の穴(「霊降ろし」に所収)、藤野可織 いやしい鳥
第104(2007)円城塔 オブ・ザ・ベースボール、谷崎由依 舞い落ちる村
第105(2007)楊逸 ワンちゃん、島田雅彦賞 早川阿栗 東京キノコ、辻原登賞 牧田真有子 椅子
第106(2008)野道夫 逃げ道
第107(2008)上村渉 射手座、松波太郎 廃車(「よもぎ学園高等学校蹴球部」に所収)
第108(2009)シリン・ネザマフィ 白い紙(「白い紙/サラム」に所収)
第109(2009)奥田真理子 ディヴィジョン、花村萬月・松浦理英子特別賞 合原壮一朗 狭い庭
第110(2010)鶴川建 乾燥腕、穂田川洋山 自由高さH

群像新人賞受賞作リスト

講談社が刊行する文芸誌『群像』が、1958年に設けた。
小説・評論の 2 部門ある。

公募新人文学賞。毎年10月末日締め切り。受賞作は『群像』6月号に掲載。
小説部門は400枚詰め原稿用紙に換算250枚以内。


群像新人賞(小説部門) 受賞作リスト

第43(2000) 横田創 (世界記録)、優秀賞 中井佑治 フリースタイルのいろんな話
第44(2001) 萩原亨 蚤の心臓ファンクラブ、優秀賞 島本理生 シルエット
第45(2002) 早川大介 ジャイロ!、寺村朋輝 死せる魂の幻想
第46(2003) 森健 火薬と愛の星、優秀賞 村田沙耶香 授乳、脇坂綾 鼠と肋骨
第47(2004) 十文字実香 狐寝入夢虜、優秀賞 佐藤憲胤 サージウスの死神
第48(2005) 樋口直哉 さよなら アメリカ、優秀賞 望月あんね グルメな女と優しい男
第49(2006) 木下古栗 無限のしもべ、朝比奈あすか 憂鬱なハスビーン、優秀賞 深津望 煙幕
第50(2007) 諏訪哲史 アサッテの人、優秀賞 広小路尚祈 だだだな町、ぐぐぐなおれ
第51(2008) 松尾依子 子守唄しか聞こえない
第52(2009) 丸岡大介 カメレオン狂のための戦争学習帳
第53(2010) 淺川継太 朝が止まる、野水陽介 後悔さきにたたず

直木三十五賞 受賞作リスト

文藝春秋社が主催している。
芥川賞と同時に昭和10年に制定された。
公式サイトはこちら
短編および長編の大衆文芸作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。
無名・新進・中堅作家が対象。

上半期(12月1日~5月31日までに公表)の選考会は7月、「オール讀物」9月号に掲載。
下半期(6月1日~11月30日までに公表)の選考会は翌年1月、「オール讀物」3月号に掲載。

第91(1984)連城三紀彦 恋文、難波利三 てんのじ村
第92(1984)該当作品なし
第93(1985)山口洋子 演歌の虫・老梅
第94(1985)森田誠吾 魚河岸ものがたり、林真理子 最終便に間に合えば・京都まで
第95(1986)皆川博子 恋紅
第96(1986)逢坂剛 カディスの赤い星、常盤新平 遠いアメリカ
第97(1987)白石一郎 海狼伝、山田詠美 ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー
第98(1987)阿部牧郎 それぞれの終楽章
第99(1988)西木正明 凍れる瞳・端島の女、景山民夫 遠い海から来たCOO
第100(1988) 杉本章子 東京新大橋雨中図、藤堂志津子 熟れてゆく夏
第101(1989)ねじめ正一 高円寺純情商店街、笹倉明 遠い国からの殺人者
第102(1989)星川清司 小伝抄、原尞 私が殺した少女
第103(1990) 泡坂妻夫 蔭桔梗
第104(1990) 古川薫 漂泊者のアリア
第105(1991) 芦原すなお 青春デンデケデケデケ
第105(1991) 宮城谷昌光 夏姫春秋
第106(1991) 高橋克彦 緋い記憶
第106(1991) 高橋義夫 狼奉行
第107(1992) 伊集院静 受け月
第108(1992) 出久根達郎 佃島ふたり書房
第109(1993) 高村薫 マークスの山
第109(1993) 北原亞以子 恋忘れ草
第110(1993) 大沢在昌 新宿鮫 無間人形
第110(1993) 佐藤雅美 恵比寿屋喜兵衛手控え
第111(1994) 海老沢泰久 帰郷
第111(1994) 中村彰彦 二つの山河
第112(1994) 該当作なし
第113(1995) 赤瀬川隼 白球残映
第114(1995) 小池真理子 恋
第114(1995) 藤原伊織 テロリストのパラソル
第115(1996) 乃南アサ 凍える牙
第116(1996) 坂東眞砂子 山妣
第117(1997) 篠田節子 女たちのジハード
第117(1997) 浅田次郎 鉄道員(ぽっぽや)
第118(1997) 該当作なし
第119(1998) 車谷長吉 赤目四十八瀧心中未遂
第120(1998) 宮部みゆき 理由
第121(1999) 佐藤賢一 王妃の離婚
第121(1999) 桐野夏生 柔らかな頬
第122(1999) なかにし礼 長崎ぶらぶら節
第123(2000) 金城一紀 GO
第123(2000) 船戸与一 虹の谷の五月
第124(2000) 重松清 ビタミンF
第124(2000) 山本文緒 プラナリア
第125(2001) 藤田宜永 愛の領分
第126(2001) 山本一力 あかね空
第126(2001) 唯川恵 肩ごしの恋人
第127(2002) 乙川優三郎 生きる
第128(2002) 該当作なし 候補作:角田光代 空中庭園
第129(2003) 石田衣良 4TEEN フォーティーン
第129(2003) 村山由佳 星々の舟
第130(2003) 江國香織 号泣する準備はできていた
第130(2003) 京極夏彦 後巷説百物語
第131(2004) 奥田英朗 空中ブランコ
第131(2004) 熊谷達也 邂逅の森
第132(2004) 角田光代 対岸の彼女
第133(2005) 朱川湊人 花まんま
第134(2005) 東野圭吾 容疑者Xの献身
第135(2006) 三浦しをん まほろ駅前多田便利軒
第135(2006) 森絵都 風に舞いあがるビニールシート
第136(2006) 該当作なし
第137(2007) 松井今朝子 吉原手引草
第138(2007) 桜庭一樹 私の男
第139(2008) 井上荒野 切羽(きりは)へ
第140(2008) 天童荒太 悼む人               
第140(2008) 山本兼一 利休にたずねよ         
第141(2009) 北村薫 鷺と雪               
第142(2009) 佐々木譲 廃墟に乞う             
第142(2009) 白石一文 ほかならぬ人へ          

芥川龍之介賞 受賞作リスト

文藝春秋社が主催。直木賞と同時に昭和10年に制定された。
純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。
公式サイトはこちら
主に無名もしくは新進作家が対象となる。
上半期(12月1日~5月31日までに公表)の選考会は7月「文藝春秋」9月号に掲載。
下半期(6月1日~11月30日までに公表)の選考会は翌年1月、「文藝春秋」3月号に掲載。

第75(1976) 村上龍「限りなく透明に近いブルー」
第76(1976) 該当作品なし
第77(1977) 三田誠広「僕って何」、池田満寿夫「エーゲ海に捧ぐ」
第78(1977) 宮本輝「螢川」、高城修三 「榧の木祭り」
第79(1978) 高橋揆一郎「伸予」、高橋三千綱「九月の空」
第80(1978) 該当作品なし
第81(1979) 重兼芳子「やまあいの煙」、青野聰「愚者の夜」
第82(1979) 森禮子「モッキングバードのいる町」
第83(1980) 該当作品なし
第84(1980) 尾辻克彦 父が消えた
第85(1981) 吉行理恵 小さな貴婦人
第86(1981) 該当作品なし
第87(1982) 該当作品なし
第88(1982) 加藤幸子 夢の壁、唐十郎 佐川君からの手紙
第89(1983) 該当作品なし 候補:島田雅彦 優しいサヨクのための嬉遊曲
第90(1983) 笠原淳 杢二の世界、高樹のぶ子 光抱く友よ
第91(1984) 該当作品なし
第92(1984) 木崎さと子 青桐
第93(1985) 該当作品なし 候補:山田詠美 ベッドタイムアイズ
第94(1985) 米谷ふみ子 過越しの祭
第95(1986) 該当作品なし
第96(1986) 該当作品なし
第97(1987) 村田喜代子 鍋の中
第98(1987) 池澤夏樹 スティル・ライフ、三浦清宏 長男の出家
第99(1988) 新井満 尋ね人の時間
第100(1988) 南木佳士 ダイヤモンドダスト、李良枝 由煕
第101(1989) 該当作品なし 候補:鷺沢 萠 帰れぬ人びと
第102(1989) 大岡玲 表層生活、瀧澤美恵子 ネコババのいる町で
第103(1990) 辻原登 村の名前
第104(1990) 小川洋子 妊娠カレンダー
第105(1991) 辺見庸 自動起床装置
第105(1991) 荻野アンナ 背負い水
第106(1991) 松村栄子 至高聖所アバトーン
第107(1992) 藤原智美 運転士
第108(1992) 多和田葉子 犬婿入り
第109(1993) 吉目木晴彦 寂寥郊野
第110(1993) 奥泉光 石の来歴
第111(1994) 室井光広 おどるでく
第111(1994) 笙野頼子 タイムスリップ・コンビナート
第112(1994) 該当作なし
第113(1995) 保坂和志 この人の閾
第114(1995) 又吉栄喜 豚の報い
第115(1996) 川上弘美 蛇を踏む
第116(1996) 辻仁成 海峡の光
第116(1996) 柳美里 家族シネマ
第117(1997) 目取真俊 水滴
第118(1997) 該当作なし
第119(1998) 花村萬月 ゲルマニウムの夜
第119(1998) 藤沢周 ブエノスアイレス午前零時
第120(1998) 平野啓一郎 日蝕
第121(1999) 該当作なし
第122(1999) 玄月 蔭の棲みか
第122(1999) 藤野千夜 夏の約束
第123(2000) 町田康 きれぎれ
第123(2000) 松浦寿輝 花腐し
第124(2000) 青来有一 聖水
第124(2000) 堀江敏幸 熊の敷石
第125(2001) 玄侑宗久 中陰の花
第126(2001) 長嶋有 猛スピードで母は
第127(2002) 吉田修一 パーク・ライフ
第128(2002) 大道珠貴 しょっぱいドライブ 候補:中村文則 、島本理生 リトル・バイ・リトル
第129(2003) 吉村萬壱 ハリガネムシ
第130(2003) 金原ひとみ 蛇にピアス
第130(2003) 綿矢りさ 蹴りたい背中
第131(2004) モブ・ノリオ 介護入門
第132(2004) 阿部和重 グランド・フィナーレ、候補:山崎ナオコ―ラ 人のセックスを笑うな
第133(2005) 中村文則 土の中の子供
第134(2005) 絲山秋子 沖で待つ
第135(2006) 伊藤たかみ 八月の路上に捨てる
第136(2006) 青山七恵 ひとり日和
第137(2007) 諏訪哲史 アサッテの人
第138(2007) 川上未映子 乳と卵
第139(2008) 楊逸 時が滲む朝
第140(2008) 津村記久子 ポトスライムの舟
第141(2009) 磯崎憲一郎 終の住処
第142(2009) 該当作なし
第143(2010) 赤染晶子 乙女の密告

諏訪哲史 「アサッテの人」

第50回群像新人文学賞受賞作
第137回芥川賞受賞作

「アサッテの人」を読み始めると、私の「おぺるにきゅう」が走馬灯となって現れた。
みなさんは「おぺるにきゅう」、「だっしゃりん」という言葉の意味をご存じだろうか?
たぶんご存じないだろう。だって、これらは私が幼少時に作った言葉なのだから。
もともと語源や意味があったのかどうかすら覚えていない。

授業中、テレビを見ている時、友達と遊んでいる時、など場面はなんでもよいのだが、
少しリラックスした状況でふと我に返った瞬間、これらの言葉を口に出してしまうことがあった。
これらを口に出す瞬間の語感が心地よかったようだ。
なぜか姉と一緒にいる時が多かったのだが、それを聞いた姉は、
「何それ、どういう意味? ねえ、」
と最初のうちは聞いていたのだが、そのうち、
「またかいな、・・・おぺるにきゅ~」
と一緒になって言ってくれるようになった。

私自身は、本作品の本質を解読できていない。もう一度読んで理解できる自信もないのだが、近くまた読んでみたい。

行方不明になった叔父の住まいである公団住宅が解体されることになり、叔父の持ち物を引き取りに来た主人公は叔父とすでに他界した叔母の日記を題材にした小説を書く。ここで通常と違うのは、小説を作っているということを明言しながらこの作品が作られていることである。

・・・・・
作者が登場人物より泣いてばかりもいられない。叔父の話を続ける。
・・・・・

これをレトリックと呼ぶのか、新しい形式なのか、浅学の私は知らない。


叔父が発する意味不明の言葉である≪ポンパ≫、≪チリパッハ≫、≪ホエミャウ≫、≪タポンテュー≫について、諏訪さんは以下のように表現している。

・・・・・
耳に付きやすいくせに、それ自体に意味を持たぬ言葉というのは、考えてみれば恐ろしい。それはブラックホールのように人間を吸い寄せ、暗い穴の中へ呑み込んでゆく。
・・・・・

諸々の凡庸が満ち溢れる社会から離反し、どこか無重力の場所に思うことを「アサッテ」というらしい。

吃逆のある叔父の日記を覗き見る背徳感と享楽。しかし、そこに広がる底なし沼のような言語世界観には、ただただ圧倒される。
どちらかというとアサッテの人である私でも。

アサッテの人

2010年4月27日火曜日

丸岡大介 「カメレオン狂のための戦争学習帳」

第52回群像新人賞文学賞受賞作

独身教員寮に入った私立高校国語教員の田中は教育委員会に内密のレポートを提出する任務が与えられる。やや特殊な寮生活を過ごすうちに対立組織である組合に狙われているという現実か妄想かわからぬ世界に入ってゆくさまが描かれている。

主人公の幅広い洞察が深まってゆく中で、常識的な文脈から彼の戦争観が展開されてゆく。

誰が敵で誰が味方か、
どこからどこまでが現実で、
何が嘘なのか、
いつの間にか狂信的妄想世界に入ってゆく。

・・・・・
要するに、戦争とはまったくのカメレオンのようなものである。
カルル・フォン=クラウセヴイッツ
・・・・・
本書の冒頭にこの文章が掲げられている。

フォン=クラウセヴイッツの「戦争論」に感化された彼の論理が批判に耐えうるものか否か私には全くわからない。

しかし、そんなことはさして重要なことではなく、
狂気とはこのような深い混沌から生まれるものなのか、
と、私がおののけば作者の意図は達成されたことになるのであろう。

カメレオン狂のための戦争学習帳

湊かなえ 「告白」

週刊文春08年ミステリーベスト10で第1位
第6回本屋大賞受賞作

「告白」は湊かなえさんのデビュー作で、2010年6月に松たか子さん主演の映画が公開されるようです。かなりの大作ですが、読みやすく引き込まれるものがあるので、大概の方は一晩で読めてしまうでしょう。

五人が語る形でストーリーが展開されてゆき、その全てに作者が緻密に計算した背景があります。
殺人がいくつも起こるということ自体は、現実世界とはジャンルが違うことになってしまうのですが、
描かれている数々のテーマは現実社会の病理にほかなりません。
それらのテーマひとつひとつに対して作者の明確な解答が述べられています。
どの答えも、殺人=悪、といった世間の常識ではなく、彼女自身がきちんと咀嚼し反芻したうえで、
与えてくれるものです。

・・・・・
道を踏み外して、その後更生した人よりも、もともと道を踏み外すようなことをしなかった人がえらいに決まっています。
・・・・・

登場人物が淡々と語る中にいくつもの真理がちりばめられている、そんな作品です。



「告白」を読んで余韻に浸っていた頃、新聞(2010年4月25日読売新聞朝刊)に「人を裁く」と題した山折哲雄(宗教思想家)さんの文章が掲載されました。その中で菊池寛の二つの小説「恩讐の彼方に」と「ある抗議書」を紹介しています。これらは今から約90年前、大正時代の同時期に書かれたもので、凶悪犯罪者の償いと赦しについて両面的な発想をもち一挙に書き上げられたものです。山折さんは、菊池寛と言う作家に対して「懐の深い、複眼的な思考に驚かないわけにはいかない。その冷静な洞察力にも舌を巻く。」と最高の評価をされていました。

私も、同じテーマに立ち向かった湊かなえさんに同等の評価をしたいと思います。

まあ、私なんぞに評価されてもぜんぜんうれしくないでしょうが。

2008年に出版された単行本「告白」もありますが、2010年4月に文庫本「告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)」が出版されかなり売れているようです。

2010年4月25日日曜日

永禮 賢 写真集『mind encode | nagare satoshi』

永禮 賢は天才です。
どこがどう天才なのか文章で説明できないので、
写真集をみていただくしかないのですが・・・

2006年に発表され、木村伊兵衛賞候補にもなった話題の写真集『birds of silence』は、
平間至写真大賞を受賞しました。
これは、芸術を志す人の教科書です。
しかしすでに入手不能なプレミアム写真集になってしまいました。
彼のことだから増刷なんかしないでしょう。

やさしいモノトーンな絵が聞こえる
視覚と聴覚と心性って融合することがあるのだな、
肩肘をはらないblueな彼が見えます。



『mind encode | nagare satoshi』は、2010年3月に初版のはずですが、
4月下旬の今になってようやく入手できました。

「100冊くらい買っといてよね」

写真について語っても無意味であることを知っている彼は、
この作品のテーマや内容なんかは語らずに私にそう言っただけでした。


手に取るまで気が付きませんでしたが、タイトルは" mind encode "ではなく、
" | nagare satoshi "までを含めたものなのです。
彼は口には出さなくでも、ここからすでに大きなこだわりがあるはずです。


nagare satoshiのmindをencode(=符号変換)した作品、という単純な解釈はつまらない。

生命の連鎖を担うDNAに記号化してあるから自分の身体はあるのだけど、
現実か幻想かさえわからない日常の風景の中に落ちている道端の石ころの中に
自分のmindを理解できる断片がencodeされているんじゃないか、
と期待してその周りをぐるぐる回ってたんだよね、

という彼自身の声が聞こえてる。


どうしてそんなに彼を褒めるのか?
私は彼をエコひいきしているからです。

実は、私は彼が中学生の時からよく知っています。

昔は、彼は私の教え子でした。
今は、私の友人です。
将来は、私の師匠になるのかな。


この写真集もあっという間に絶版になり見ることができなくなります。
ほんとに彼はナイーブな奴なので、残さないつもりなのでしょうから。

永禮賢 展覧会のお知らせ

2010年4月24日土曜日

阿部和重 「ピストルズ」

先日、半分読んだところでtwitterに率直な感想
・・・・・
プロ好みの妄想系作品で一般人には読めないものである
・・・・・
と書いたら群像編集部さんがかなり気分を害されリムーブされてしまった、
(と勘違いしていたが、最初からフォローされていなかっただけのようです、失礼しました)
決して批判したわけではないのでその後の感想も聞いて欲しい。

ここ半年以内に出版された文学作品の中で最も注目されている作品であることは間違いない。

表紙タイトルの日本語表記「ピストルズ」は探さないとわからないくらい小さく書かれている。英語表記はpistolsではなくpistilsとなっている。つまりピストル=拳銃、pistils=おしべ、両者の意味が込められているのだろう。

モモ園、魔術師、ユートピア、コミューン、一子相伝・・・
これらの言葉が連なりゆったりと浮世離れしていく

全体としてやわらかで幻想的、植物的なファンタジー作品を見ている感じが続くため、読了数日たった今は、読書をしたというよりも絵画の残像しか残っていない。

作者自身もそう自負しているのだが、
いろいろな意味で、今回も虚構世界を愛する読者を幻滅させてくれた。


群像、文學界、新潮の各5月号にこの作品に関する対談や批評があるのでこれらを読み比べると楽しめる。特に、群像(講談社)での作者と蓮實重彦さんとの対談はかなり勉強になる。蓮實さんは作者がデビューした時から彼を高く評価していたように記憶しているが、作者が想定していなかった形式論まで展開し、一流作家の読みの深さを伺い知ることができる。文學界(文藝春秋)では斎藤環(精神科医)さんと対談し夢の話や作家的無意識について語っているのだが、かなり興味深い会話が暴露されてしまっている。

・・・・・
いや、実は先日、鳩山由紀夫と裸で抱き合った夢を見たんです(笑)。
そしたら「群像」の担当編集者に、「阿部さん、権力と寝たわけですね」って言われて(笑)。
・・・・・

??? 

こんなの載せちゃって大丈夫なんかな。

阿部正和というのは私のような凡人をはるかに超えた天才、貴人、奇人であることは間違いないようでございます。

ここだけの話、カバーを外してみたらユニークな表紙絵が出てきます。
個人的にはこういうおちゃめな写真は大好きです。
本屋さんでめくらないようにね。

2010年4月23日金曜日

伊藤たかみ 「貝からみる風景」

単行本「八月の路上に捨てる」に収載。

芥川賞受賞作の「八月の路上に捨てる」よりもおもしろい。特に前半がおもしろい。

30分もかからずに読めてしまう短編です。
この作家の他の作品も読みたくなるに違いありません。

伊藤たかみ 「八月の路上に捨てる」

第135回(2006年)芥川賞受賞作。

路上に捨てたのは何か?

一緒にトラックで自販機のジュースを配っている相棒の水城さんとの心が深まってゆき、
結局、関係をもつのだろう、という浅はかな私の想像を裏切るところが陳腐な小説ではないところ。

ストーリーの連なり、表現のうまさ、は小説の教科書になる。

路上に捨てたのは、妻、知恵子との結婚生活ではなく、
青臭い自分の青春、いらだつばかりの自分ではないだろうか。

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心の動きは、ねじくれながらも一本の線を描いている。線上にはきっと百も二百もの目に見えない選択肢があった。
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八月の路上に捨てる

ごあいさつ

2008年に少しだけこのブログを書き始めたのですが多忙のため中断していました。散逸したものをこちらに移行することとしました。本業に少し余裕ができてきて読書にいそしめるようになりましたが、同時にはるか昔に挫折した新人賞に再挑戦できないか、という浅はかな夢まで見始めているところでございます。

三浦しをん 「風が強く吹いている」

単なる駅伝小説ととらえればありえないストーリーだが、描かれているのテーマは、リアルか否かではなく10人の感性である。この作品のためにかなり長い年月をかけた取材をされたそうです。普段、走ることがないおっさんも走りたい気分にさせてくれます。 『まほろ駅前多田便利軒』で2006年に直木賞を受賞された作家です。

風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

桐野夏生 「ナニカアル」

昭和の文豪、林芙美子さんの人物像と戦時中の情勢をリアルに再現されたノンフィクションさながらの名著です。
巻末の参考文献を眺めるだけでも桐野さんのお仕事ぶりを伺い知ることができます。

印をつけるのを失念したのでどこであったのかわからぬが、本文中二カ所程に「ナニカアル」を見た。

林芙美子と斎藤謙太郎の恋物語でもあろうが、
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文学的野心のない者は、ものを書く資格などないのである。
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という芙美子の言葉から文筆家としての気概も感じられます。


高脂血症薬に心臓病防ぐ効果 日本で8千人臨床試験

2005年11月17日の朝日新聞朝刊の記事

コレステロール値を下げる高脂血症薬を使うと、日本人で心臓病の発生を減らす効果があることが、約8000人の患者が参加した臨床試験で分かった。日本人を対象にこの薬を使う人と使わない人を比べた大規模臨床試験は初めて。中村治雄・防衛医科大名誉教授らが16日、米テキサス州ダラスで開かれた米国心臓協会学術集会で発表した。

中村さんらは総コレステロール値が220~270ミリグラム(血清1デシリットル当たり)の男女7832人(平均年齢58歳)の協力を得て、全員に食事療法をしたうえで、半分の人にはコレステロールを下げる薬を飲んでもらった。

5年以上経過を追った結果、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの心臓病を起こす発症率は、薬を飲んだ場合が飲まない場合に比べて33%少なかった。これに脳梗塞を加えた動脈硬化性の病気全体の発症率でみても、30%減った。

今回の臨床試験で使われたのはプラバスタチン(商品名メバロチン)という高脂血症治療薬で、日本では89年、三共が発売し、医師が処方する薬として広く使われている。欧州で実施された大規模臨床試験では心臓病を予防する効果が確かめられてきた。欧米に比べて日本では心筋梗塞などによる死亡率が低く、食生活も違うため、日本人にも病気を防ぐ効果があるのかを厳密な臨床試験で確かめる必要があるとされてきた。


設問① 「8000人の臨床試験で確かめた」という記述をみてどう考えますか?
設問② 「薬を内服した場合、内服しなかった場合に比べて心臓病を起こす発症率が33%少なかった」という記述をみてどう考えますか?また、これは何%が何%になったと思いますか?
設問③ この記事を読んで、もし自分が高脂血症になったらメバロチンを飲んでみたいと思いますか?

P値について

P値は「本当は薬効が同じであったとすれば、第一種の過誤がおこる率」という条件付確率である。



P値の解釈については諸説あります。
なんでもかんでも『p<0.05だったら有意差あるからいいんだ』みたいな考え方が多いようですが・・・



「大きいことはいいことだ」 大規模臨床試験にお墨付

大規模臨床試験で得られたP値は、小さい試験で得られたP値と比べて、治療効果に差があることを示すより強い証拠となる。

Peto R, Pike MC, Armitage P et al.
Design and analysis of randomized clinical trials requiring prolonged observation of each patient; introduction and design.
Br J Cancer. 34:585-612,1976.



「大きいことは効果ないということだ」 大規模試験の証拠能力は弱い

P=0.05という値は、少数例から得たのであれば強い証拠となるが、多数例から得たものであれば、その証拠は常に極めて弱く、極端な場合は差が無いという証拠になる。

Freeman PR
The role of P-value in analyzing trial results.
Stat Med 12: 1443-1452,1993.



「P値で表現する時代は終わった」 効果の大きさで表すべき


効く vs 効かない という仮説検定ではなく、「どれくらい効果があるのか」を表すべきであり、効果の大きさとその信頼区間を表すべきである。

Gardner MJ, Altman DG Confidence intervals rather than P values; estimation rather than hypothesis testing.BMJ 292: 746-750,1986.
Simon R
Confidence intervals for reporting results of clinical trials.
Ann Intern Med 105:429-435, 1986.

Evans SJ, Mills P, Dawson J
The end of P values?Br Heart J 60:177-180,1988


「損をする確率がP値と一致する」 新しい解釈


よいはずの治療でかえって損をする確率そのものがPである。
"the right thing is done for the wrong reason"

Anscombe FJ
The summarizing of clinical experiments by significance levels.
Stat Med 9:703-708, 1990.

喫煙者の糖尿病発症リスク

喫煙者の糖尿病発症
25件の前向きコホート研究による 補正相対リスク 1.44(1.31-1.58)

Active smoking and the risk of type2 diabetes: a systematic review and meta-analysis.
Willi C et al. JAMA 2007; 298:2654-2664.PMID: 18073361

これは因果関係か交絡か?

〔因果関係を支持〕
①時間的前後関係
②ヘビースモーカーの方がリスクが高い量反応関係
③生物学的妥当性:喫煙はインスリン抵抗性をおこしインスリン分泌を抑制

〔交絡の可能性〕
①喫煙者は運動不足でアルコール摂取が多く不健康だから
②ヘビースモーカーには肥満者が多く、禁煙の成功率は低い。
③禁煙の失敗は体重増加の原因
④喫煙者は中心性肥満が多い(喫煙の抗エストロゲン作用)

自殺リスクが高い人への対応、TALKの原則

TALKの原則

Tell:はっきりと言葉に出して相手のことを心配していると伝える
Ask:真剣なら、死にたいか率直に尋ねてみる
Listen:徹底的に傾聴する、絶望的な気持ちを一生懸命にうけとめる
Keep safe:危険と判断したら、本人の安全を確保した上で、適切な対処をする

2010年4月22日木曜日

村田沙耶香 「コイビト」 

ぬいぐるみに恋して二人の世界にどっぷり浸かりきっている少女の内面世界。

理解できない。
理解できないけど読んでみたい世界。
世界の中では、私の知らない、思いや官能がどんどん進行しているんだ、
と思うだけでも退屈ではない。


まったく関係ない話だけど10年くらい前、
机の引き出しにたくさんのリカちゃん人形を所持している30歳男の整形外科医がいた。
後輩の研修医に着せ替え服のカタログとかを見せて気味悪がられていた。
人の趣味をとやかく言うのはよくないことだが、
彼に病的な何かを感じた。 
何という病名がつくのかは、知らない。

文庫本「授乳 (講談社文庫)」に収載されている。

村田沙耶香 「授乳」 

第46回(2003年)群像新人賞優秀作。

つい先日(2010年4月)、文庫化されました。
高校受験を控えた女子高生と無機質な家庭教師の大学院生との関係、その背景にある母親達に対するいびつな思いが描かれる。

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何か新しいことが自分の生活に入り込んでくるとき、天気が妙に晴れていると緊張してしまう。
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母が同い年のクラスメイトだったらきっといじめているなと思った。
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独特な空間と空気を醸し出しています。
こういう性描写は男には描けないと思います。
授乳 (講談社文庫)

2010年4月19日月曜日

万城目学 「鴨川ホルモ―」

第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。

京都大学の学生サークル活動を通じて繰り広げられる青春ドラマ。
ホルモンではなくホルモ―。ホルモ―とは京都にある四大学がオニを対戦させる伝統サークルらしい。
京都近隣の情景が描かれていて親近感はあるのだが、オニというものをどうしても想像できなかった。
TSUTAYAでDVD借りてきて映画を見て、こんな感じなんだな、やっぱり、と納得できた。

たしか2010年の3月頃、著者が京大で講演されていました。聞きに行けなくて残念だったです。

鴨川ホルモー (角川文庫)

2010年4月15日木曜日

川上未映子 「乳と卵」

第138回(2007)芥川賞受賞作。

私と姉とその娘が過ごす三日間の話。

男にとって女性の生理は永遠に謎だ。
40歳になった姉が豊胸手術を受けたいと言った時、主人公だけでなく誰でも「何のために?」とあきれるだろう。
これに対する直接的な答えは言わないで、不可解なものに対する著者の混沌が語られる。

ドロドロとした思春期女性の感性は男にはわからん。
女性は鼻血がでない、確かにいえると思う。

それにしても川上さんのphotoっていつも物思いにふけるセピア色の女性という感じで憧れるおっさんは多いはず。

乳と卵

川上未映子 「あなたたちの恋愛は瀕死」

日常で言葉を交わすことなくすれ違ってゆく女性達は何を思い歩いているのか、
こんな切実ですれた思いを抱えているのか、

とおっさんである私は驚いて言葉がでなくなってしまう。

タイトルは「瀕死」だが、「頓死」や「即死」でないのはなぜか、作者に聞いてみたい。

単行本「乳と卵」に収載されています。

2010年4月8日木曜日

白石一文 「ほかならぬ人へ」

第142回直木賞作。過激なストーリー展開なく惹きつける恋愛小説とはこういうものか。この作者の文学は単なる恋愛ものではなく主題がある。

ところで、つい最近まで作者は色の白い清楚な感じの女性で、私好みのはずだ、と想いこがれており・・・。

たまたま目にしたところで映ってらっしゃいました。
http://www.asahi.com/culture/update/0114/TKY201001140329.html

この方の小説はとても読みやすく引き込まれるものがあります。
ほかならぬ人へ

白石一文 「かけがえのない人へ」

ほかならぬ人へ」の単行本に同時収載されています。
恋愛小説で結婚やセックスなどという世俗的な行事について論じてもしょうがないでしょう、ということです。読了後にやるせない不完全燃焼を感じたら読者の負けなのです。

少しアブノーマルな性の描写がでてくるものの、真の恋愛って何だったっけ?と考えてしまう作品です。
まあ、私みたいなおっさんには終わった話ではありますが。

この作品を読んで、白石さんは色白の女性だ、と妄想していました。
実際はこんな方。
http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/index.htm

個人的な好みなのか私の選眼が無いからかはわかりませんが、直木賞受賞作の「ほかならぬ人へ」よりもこちらの作品の方が好きです。

2010年4月1日木曜日

筒井康隆 「家族八景」

読心術という特殊な才能がある女性、七瀬がお手伝いさんとして各家庭に入りこみ人心を読んでいくというSF作品。
人の心が読めるが故に苦悩ばかりが続く。
確か、近年、映画化されたようであるが詳細は知らない。

筒井さんの作品といえば「時をかける少女」、原田知世さんを思い出します。
この話とは全然関係ないのですが。

家族八景 (新潮文庫)

手術を受ける病院と医師選び

以下は二年前の地方紙に掲載していただいたものです。

質問  (40歳女性)
私がもし手術を受けることになったら、最先端医療が受けられる病院で手術を受けたいです。どこの病院がよいでしょうか。


回答
「もし手術をしてもらうのならば良い病院で・・」と考えるのは当然のことでしょう。本屋さんにも「優秀な病院ランキング」なる本が沢山ありますし、巷にはさまざまな情報が溢れています。私も友人から「こんな時はどこの病院が最先端なの?」という質問をよく受けます。しかし、私はこの質問自体が適切ではない気がします。最先端イコール良い医療ではありませんし、あなたや家族が満足できる医療が受けられるか否かは病院単位では決まらないからです。緊急手術の場合は悠長なことは言っていられませんが、時間的な猶予がある場合は以下のようなポイントが考えられます。

(1)主治医の推薦
あなたに「手術が必要だろう」と告げた医師、かかりつけの主治医に「先生のご家族ならどの医師に手術してもらいますか」と聞いてみるのが最もよいかもしれません。

(2)担当医との相性
手術を担当することになった医師は十分な時間をかけて、あなたが理解し納得できるまで説明してくれるか。あなたの希望を聞いてくれるか。診療に熱意が感じられるか。病気の種類にもよりますが、退院後にも通院治療でかかわりつづける担当医とあなたの相性はとても大切です。残念ながら、担当医との相性が悪い場合や、信頼できないような場合は、「セカンドオピニオンを受けたい」と言って他医への紹介を求めた方がよいでしょう。

(3)通院の利便性
手術に関係なくても、体調が悪い時、急な症状の変化や不安が生じた時に、早めに受診できる距離にある病院の方が安心できます。京都市内に住んでいるのに新幹線に乗ってまでいくべき病院は、ごく一部の例外を除いて、ないでしょう。

「手術の腕がいいか」は誰しも最も興味があるところですが、結局はわからないことの方が多いです。担当医の能力、手術に参加する他の医師の手腕なども複合的に影響するからです。重要だけど絶対的な基準はなく難しいのが手術を受ける病院と医師選びです。