太宰 治(1909-1948)
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自分の幸福の観念と、世の中すべての人たちの幸福の観念とが、まるで食い違っているような不安・・・
つまり、わからないのです。隣人の苦しみの性質、程度が。まるで見当がつかないのです。
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中学生ぐらいの時に同作品を読んだ。最初に読むには、少し早すぎた。輪郭は覚えているものの、こんなテーマだったのか、こんな表現だったのか、と今さら驚く。今読んでも古くない内容だと思えるのは、普遍的な苦悩を赤裸々に正直に語っているからであろう。苦脳を経験したことのある読者は皆、自分のことが描かれていると思うに違いない。奥野健男氏の解説を読み、本作品の背景に驚くのであるが、「はじめて自分のためだけに書いた作品」だという。太宰氏が自殺を遂げた後に同作品の最終原稿が掲載され、同時代の人々は興奮の中で、同作品を読んだ。すごい状況演出だ。
人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
