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2010年6月7日月曜日

プーシキン 「スペードの女王」

1834年の作品。

「プーシキンは国民詩人の域をこえて世界の魂に共鳴し共感する世界詩人」とドストエフスキーが絶賛し、トルストイ、ゴーゴリ-らにも多大な影響を与えた。

いわゆるペテルブルク物といわれる作品。
幻想と現実との微妙な交錯を描いた写実的浪漫主義の極致と評され、現在の日本純文学に通ずるものもありそうだ。巻末の解説によれば、この詩人の内的悲劇(精神的危機)につながるものがある。つまり、「スペードの女王」と叙事詩「青銅の騎士」の二作品は同年秋に書かれた叙事詩の一断片が共通の動因として横たわっているというのだ。その詩は以下のようなものだ。

・・・・・
ねがわくは神、われが、心を狂せしめたまうことなかれ。
むしろ如かじ、杖をつき袋を負いて、さすらいの旅に出でんには、
むしろ如かじ、額に汗して野良に働き、あるいは飢えに泣かんには。
われはわが理性をひたすら崇めたるにもあらず、またわれは
わが理性と決別するをいとい欺くにもあらざれど・・・
・・・・・

“スペードの女王は悪しき下心を示す”(本作品の冒頭の言葉)
年老いた伯爵夫人の亡霊によれば、トランプ戯法“ファラオン”で必ず勝つかけ方は、“3,7,1”(トロイカ、セミョルカ、トウズ)である。もし賭ける機会があれば、そう賭けてみることにしよう。“女王”(ダーマ)がでないかドキドキしつつ。

スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)は2005年に改訂された。(神西清の訳)