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2010年7月30日金曜日

島本理生 「リトル・バイ・リトル」

第128回 芥川賞候補作

全体がゆるい感じのなだらかな恋愛。
それにしてもこの手の小説は母子家庭の設定が多いと思う。

2010年7月26日月曜日

吉田修一 「悪人」

毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞作。近々映画化?

とてもよい悪人だった。心温まる悪人だった。

2010年7月23日金曜日

野坂昭如 「アメリカひじき、火垂るの墓」

第58回1967年 直木賞受賞作

原爆孤児の兄弟が野垂れ死にしていくまでの様を描いた悲しい話が野坂氏の独特の文体で綴られている。

2010年7月21日水曜日

朝比奈あすか 「憂鬱なハスビーン」

第49(2006)群像新人賞受賞作。

職安に通う凛子の一人称で「勤労感謝の日(絲山 秋子)」にも少し似た設定である。主人公は東大卒のエリートだが失落してしまった。夫の育ちの良さ、姑れい子さんとの確執。主人公の心情に共感できる部分もあるが、こういう人が嫁だったら、やっていけない、と思う。

2010年7月20日火曜日

鷺沢 萠 「私はそれを我慢できない」

2004年に他界された鷺沢さんの1998年のエッセイ。

このエッセイから垣間見える作者は闊達で陽気な女性。
読んでいる途中に、彼女はもういないんだ、と思うととても悲しい気分になる。
本書のあとがきを姫野カオルコさんが書いているが、鷺沢さんの影の部分を見透かした記述があることに驚いた。
「どの写真もさみしそう・・・」と。


鷺沢 萠(さぎさわ めぐむ、本名:松尾めぐみ、女性、1968年6月20日 - 2004年4月11日)

2010年7月19日月曜日

花村萬月 「ゲルマニウムの夜」

第119回(1998)芥川賞受賞作

修道院における主人公の神に対する挑戦、カトリック宗教に対する反逆の書。
王国記シリーズが何冊かあるうちの一冊目です。

「文學界」2010年8月号にこのシリーズに関して編集者との対談が掲載されているので、本書と合わせて読むと作者の描きたかった背景理解の助けになると思う。

私は本書をおもしろいと思えるが、こういうものが嫌いな人も多いと思う。

2010年7月18日日曜日

吉村萬壱 「ハリガネムシ」

第129回(2003)芥川賞受賞作
きもち悪い
ハリガネムシ

吉村萬壱 「クチュクチュバーン」

2001年(第92回)文學界新人賞受賞作

気持ち悪い。下品きわまりない。作者は高校教師なのだが、生徒の前で声を出してこの作品を読めないだろうな。

クチュクチュバーン

2010年7月17日土曜日

柳 美里 「家族シネマ」

第116(1996)芥川賞受賞作。
この本を間違えて二冊買ってしまった。

演劇的な展開と描写で通常の小説からすると違和感があり溶け込みにくい。
ねっとりとした女性の感性に入り込むのはしんどいことだ。

2010年7月6日火曜日

絲山 秋子 「沖で待つ」

第134回(2005)芥川賞受賞作

とてもおもしろい作品です。
企業に勤務していた作者の実体験なのでしょうか?かなりリアリティーがあります。会社員になったことのない私には、若いサラリーマンというのはこういうものなのかな、サラリーマンの同期っていいもんだな、と思えます。死んでしまった同期の男性、太っちゃんの部屋に忍び込む場面は実話を基にしたのかな、と思えてしょうがない。友情っていいですね。


文庫版の沖で待つ (文春文庫)は、「勤労感謝の日」、「みなみのしまのぶんたろう」が収録されている。

「勤労感謝の日」
不甲斐ない相手とお見合いすることとなった少しひねた女性の語りがおもしろい。主人公が通うハローワークにアウシュビッツの門の言葉「労働により自由になる」が掲げられていた。最近よんだ島田雅彦「悪貨」でもこれが引用されていた。原典はカントか何かで、心の自由のことを意味していたものをナチスは別の意図でこれを利用したもので、現代小説でさらに別の意で生きるている流転の言葉だ、と勝手に想像していたのだが・・・
「働けば自由になる Arbeit macht frei」は、ドイツの小説家Lorenz Diefenbachの作品タイトルを引用したものだということだと後にわかった。

「みなみのしまのぶんたろう」は石原知事を揶揄したお話。

2010年7月5日月曜日

絲山 秋子 「イッツ・オンリー・トーク」

第96回(2003)文學界新人賞受賞作

欝病の女性の日常のひとコマが描かれているのだが、出てくる薬剤や描写を読むと、作者自身の体験を基に構成されていると思われる。鬱蒼とした人間関係に身を乗り出して読み込むと、こちらもしんどくなりそうなのだが、意外に読後感はさわやかなのはなぜだろう。

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)

車谷長吉 「赤目四十八瀧心中未遂」

第119回(1998)直木賞受賞作

おそらく自伝的小説なのだろうが、とてもおもしろい。
ここまで切り詰めた状況に自分を追い込む人はなかなかいないであろうが、もし追い込んだとしたら、自分もこんな感じになるであろうと共感する人は多いのではないだろうか。

特殊な社会、独特の風情、奇異な心性、を見事に表現されている。

島田雅彦 「悪貨」

最近、正義について、悪についての本が何冊か出版されている。これらをマイブームにして読書している人も多いと思う。何が何だかわからない世相を反映しているのだろう。「正義」の意味を広辞苑で調べてもよくわからない。「正義」の反対語は何か?「悪」は正義の反対に位置するものなのか?「善」との違いは何なのか? 

こんなことを疑問のもつこと自体、ヒマ人なのである。仕事がというわけではなく、思考を欲しているという意味で脳ミソがヒマなのだ。人生の中でこういうことを掘り下げる時期が何回かあってもいい。思春期にはまってしまい大学の哲学科に入学したりすると人生が茨の道になってしまうので止めた方がいい。あくまでも実践的な人生を闊歩しつつ時々考えるのがいい。ずっと考えているとノイローゼになるので止めといた方がいいのだ。

本書は、プロ作家が書く小説のお手本だ。現在の社会事象をきちんと掘り下げた設定を描き、全体としてのテーマ、思想が底に流れている。万人に読みやすい語り口と理解できるストーリーだが、その本質をきちんと捉えるのは難しい。三回くらいは読んでみないとわからない。

しおりとして挟まっている零円札はユニークだ。

2010年7月4日日曜日

泡坂妻夫 「妖女のねむり」

私は推理小説をナメてました。輪廻転生をめぐる話の展開で、これはライトノベルか?と思い読み進めていくが、後半の何重にも計算された立体的な展開に、脱帽脱帽・・・。

いや、推理小説ってすんごいですね。泡坂さんって人はすごい人だと思います。

妖女のねむり (創元推理文庫)

小林 和之 『「おろかもの」の正義論』

サンデル先生の正義論を読んでいる頃、正義について、悪について、をテーマにしている本が相次いで出版された。政治のみならず身近なところで「どうしたらいいのか?」考えられない場面が多くなってきたのだろう。

本書は、(おそらく)正しいであろう正義論を筆者の信念に基づき書かれている。その理論的根拠や歴史的背景については、ほとんど記述されていないので学術的ではなく文芸的である。一般の方々に読みやすくしたためにそうなったと思われる。

細かなことは置いておき、信念に基づき書かれた書物というものは読んでいて気持ちがいい。筆者の人柄まで感じられる。この筆者は実直すぎるほどの良人だと思う。

「おろかもの」の正義論